グラフィックデザイナーのノート

松 利江子(フリーランス・グラフィックデザイナー)の公開ノート



スターバックス コーヒー ジャパン」で、2016年12月1日(木)~12月6日(日)まで、『BOOK FOR TWO』というプログラムが実施されています。

スターバックス・BOOK FOR TWO・Webデザイン
Book For Two|スターバックス コーヒー ジャパン

 

『BOOK FOR TWO』(ブック フォー トゥー)とは、不要になった本を店舗に持ち込むと、専門家の査定・買い取り後「社会福祉法人 日本点字図書館」に全額寄付され、目の不自由な方のための「オーディオブック」(耳で聞いて読書できるように朗読されたもの)が製作されるというものです。
一般書籍に加え、CDやDVDも受付対象となっています。

スターバックス・BOOK FOR TWO・パンフレットデザイン1
スターバックス・BOOK FOR TWO・パンフレットデザイン2
「スターバックス」の店舗では、店頭でパンフレットも配布されていました。


役目を終えた本が、また誰かの役に立つ。
役目を終えた本を寄贈することで、誰かの役に立てる。
これは素晴らしい「仕組み」です。

デザインが問題解決のための手段であるならば、このような視点を知っておくことは決して無駄なことではありません。
「この仕事は誰の役に立つのか」を大切にしてデザインの仕事を進めていくと、それは「作業中のコンピュータ画面ではなく、社会を眺めてみる」という視座を維持することにつながるでしょう。

誰のためにデザインをして、何を伝えるのか。
デザインやサービスの向こうにはいつも、ヒトがいます。
バランスや見た目は大切ですが、そこを自覚的に意識することが、「趣味と仕事の境界」と言えるのかもしれません。
以上はデザイン以前に仕事全般やコミュニケーションの前提となる話にも思えますが、より良いデザインをするために覚え書きまで。


『BOOK FOR TWO』のプログラムは、2009年から毎年実施されているようなので、役目を終えた本があれば、この時期まで保管しておくとよさそうです。



グラフィックデザイン:DESIGN+SLIM
グラフィックデザインのご依頼・お問い合わせ



【関連URL】
 


●グラフィックデザイン・パンフレット・カタログ・冊子・ロゴなどのデザイン制作事例 | グラフィックデザイン事務所 DESIGN+SLIM 東京・神奈川

●パンフレットデザイン 制作事例 | グラフィックデザイン事務所 DESIGN+SLIM 東京・神奈川 http://designslim.net/works_cat/pamphlet-design/


資生堂・花椿・季刊誌・エディトリアルデザイン1
紙版:表紙
 
資生堂・花椿・季刊誌・Webデザイン1
Web版:トップページ
( http://hanatsubaki.shiseidogroup.jp )


近年「オウンドメディア」が注目されていますが、国内的に「オウンドメディア」の先駆けとも言えるのが資生堂『花椿』です。『花椿』は長年、「中條正義」さんがアートディレクションされており、「エディトリアルデザイン」でも常に注目を集める、デザイン業界では有名な企業文化誌でした。

その『花椿』が、今年6月にWeb版がリニューアルされ、今月に紙版が季刊誌として新装刊されました。

(月刊誌『花椿』は、1937年に創刊され78年間続き2015年に廃止されています)



今回のリニューアルは、20代へのリーチを高めること」を目的になされています。

実際、リニューアル前の『花椿』に対する20代の認知度はかなり低かったようですが、リニューアル後は20代~30代をメインユーザーに設定できるまでに成功を収めたようです。付け加えますと、リニューアル前のWeb版は、デザインを参考にする男性の閲覧も多かったそうです。


資生堂・花椿・季刊誌・エディトリアルデザイン2
紙版:中面P27-29


資生堂・花椿・季刊誌・Webデザイン2 
Web版:Now, What!
 


今回、「新装刊0号」の紙版を入手してWeb版と比較してみましたが、それぞれの媒体の特性を活かしつつ、どちらもブランディングに沿ったコンテクストにかなっており、完成度の高いものになっていました。


例えば、Web版ではメイクアップのムービーを入れたり、Webならではのエフェクトが使われており、紙版では「タッチ」をテーマに、用紙やインクにこだわり、手触りを意識したとても面白い凝ったつくりになっています。 (内容はまったく違ったものでしたが、今後Webと季刊誌をつなぐ新しいコンテンツもスタートするようです。)


また、Webと誌面の両方で使えるフォント、モリサワのType Squareを選定しWebフォント」を導入することで、「Web」と「紙」の統一感も保たれています。(ちなみに、見出しは「本明朝」、本文は「秀英角ゴシック金」が使用されています。)


そしてデザインは、20代の女性に向けたポップな配色、日常を切り取った写真など、親しみと共感を大切にしたコンテンツが揃っていました。「銀座時空散歩」など、自社のことだけでなく、資生堂本社や関連施設がある地域(銀座)にまつわることも紹介されています。


「オウンドメディア」の要は、コンテクストとコンテンツです。

コンテンツのクオリティー維持は重要で、興味を持ち続けてもらうのは簡単なことではありません。しかし『花椿』は「今まで」を踏まえて、そして「この先」を見つめた、リニューアルがされていると感じました。


Web」と「紙」の自然なカタチでの融合は、これからの避けて通れない課題となりそうです。『花椿』は今後はコレクターズアイテムとしての合本の制作も予定されています。「オウンドメディア」の先駆けであり、腕利きの編集能力を持つ『花椿』のリニューアルには今後とも注目していきたいと思います。


資生堂・花椿・季刊誌・エディトリアルデザイン3
紙版:中面P52-53

最終ページには「Book in Book」として「花椿文庫」がついている。
第1作は「ウィリアム・サローヤン」の『心が高地にある男』。


資生堂・花椿・季刊誌・Webデザイン3
Web版:Wake up, Make up!(Klaraの場合)

メイクアップのムービーを見ることもできる。



『花椿』新装刊号は、下記の資生堂直営店と関連施設にて無料で配布されています。 


・SHISEIDO THE GINZA (東京都中央区銀座)

・資生堂パーラー 銀座本店 (東京都中央区銀座)

・資生堂ギャラリー (東京都中央区銀座)

・資生堂銀座ビル (東京都中央区銀座)

・資生堂企業資料館 (静岡県掛川市)



グラフィックデザイン:DESIGN+SLIM
http://designslim.net

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【関連URL】

花椿 HANATSUBAKI | 資生堂



●エディトリアルデザイン 制作事例 | グラフィックデザイン事務所 DESIGN+SLIM 東京・神奈川 http://designslim.net/works_cat/editorial-design/


●ウェブのデザイン制作事例 iPhone・Androidアプリのデザイン制作事例 | グラフィックデザイン事務所 DESIGN+SLIM 東京・神奈川 http://designslim.net/works_cat/web-app-design/


Tomato・プロジェクト・グラフィックデザイン・展覧会1
パルコミュージアムで開催されている、デザイン集団「Tomato」『THE TOMATO PROJECT 25TH ANNIVERSARY EXHIBITION “O”』に行ってきました。会場・カタログに一切の説明はなく、只々、制作物が剥き出しの状態で展示されている、という展覧会でした。(会場内はすべて撮影OKです。)


2016年3月12日 アンダーワールドが限定ライブで渋谷をジャック!


 
 

Tomato・プロジェクト・グラフィックデザイン・展覧会2
Tomato・プロジェクト・グラフィックデザイン・展覧会3
Tomato・プロジェクト・グラフィックデザイン・展覧会4
Tomato・プロジェクト・グラフィックデザイン・展覧会5
Tomato・プロジェクト・グラフィックデザイン・展覧会6


問題解決の手段。ユーザビリティの向上。

これらがデザインの主たる役目として一般に語られるようになったのは比較的、最近のことかもしれません。

デザインはそれ自体が目的ではなく、目的を達成するための手段です。

この前提を踏まえると、デザインそれ自体を見せる「デザイン展」というイベントは特異なものだと考えられます。


絵画などのアートは作品それ自体が自律した存在で、作品の完成がゴールですから、仕事の成果としての制作物を観てもらうために作品展があるのは自然なことです。

しかし、先述した通り、デザインはそれ自体が目的ではありません。

デザインは何らかの目的達成のために手段として用いられるものであって、デザインそれ自体を鑑賞してもらうために作られるものではないから、です。

つまり、デザイン展という概念そのものが「矛盾」しているのですが、そういう矛盾や曖昧さを「Tomato」は見落としません。


「案件名(タイトル)や説明書きの一切を排除し、制作物だけを剥き出しで見せる。

デザイン展はその存在自体が矛盾したものですが、すべての説明を排除して制作物だけを展示すれば、それはデザイン展としか言いようのないものになる」


そんな優れた決断力、割り切りの気持ちよさ、明晰さ、こそが「Tomato」であり、デザイン展を開催する表現者 =「Tomato」なのかもしれません。


『THE TOMATO PROJECT 25TH ANNIVERSARY EXHIBITION “O”』は、そんな「デザインだけが持つ、芸術とはまた違った気持ちよさ」に気付かされた展覧会となりました。

やはりデザインに大切なのは「優先順位を決めて曖昧な判断を排除すること」ですね。



Tomato・プロジェクト・ムービー1
Tomato・プロジェクト・ムービー2
Tomato・プロジェクト・ムービー3
Tomato・プロジェクト・ムービー4

階段の踊り場スペースを利用した映像も非常に「Tomato」らしいものです。


tokyo-street-poem-underworld-instillation

ギャラリーXでは、「TOKYO STREET POEM instillation by Karl Hyde sound scape by Rick Smith」も開催されていました。


アンダーワールド・レコード・アルバム・パッケージデザイン

会場でカタログを購入すると、「アンダーワールド」のニューアルバム『Barbara Barbara, we face a shining future』の袋に入れてもらえます。


Tomato・プロジェクト・カタログデザイン

今回の展覧会カタログとチケット。

Tomato・プロジェクト・リーフレットデザイン

今回の展覧会のリーフレット両面。

 

Tomato・アンダーワールド・インタビュー・フリー・マガジン

会場で配布されていたフリーマガジン『FLOOR night out』。

vol.14は「アンダーワールド」「Tomato」の特集です。



Underworld - Shibuya Shibuya we face a shining future


 

THE TOMATO PROJECT 25TH ANNIVERSARY EXHIBITION “O”




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【関連URL】

Tomato. Applied Art & Design

Underworld Live | The Official Website

THE TOMATO PROJECT 25TH ANNIVERSARY EXHIBITION “O” | PARCO MUSEUM | パルコアート.com


●グラフィックデザイン・パンフレット・カタログ・冊子・ロゴなどのデザイン制作事例 | グラフィックデザイン事務所 DESIGN+SLIM 東京・神奈川http://designslim.net/works_cat/graphic-design/

●リーフレットデザイン 制作実績 | グラフィックデザイン事務所 DESIGN+SLIM 東京・神奈川 http://designslim.net/works_cat/leaflet-design/

●音楽関連 楽譜 CD・DVDジャケット デザイン制作事例 | グラフィックデザイン事務所 DESIGN+SLIM 東京・神奈川 http://designslim.net/works_cat/music-design/ 

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