これらの中には、後のかこさとし作品のコアが形作られていく過程を見ることができます。
「かこさとし展 子どもたちに伝えたかったこと」:かこさとしさんの生涯を辿る展示
これらの中には、後のかこさとし作品のコアが形作られていく過程を見ることができます。
松 利江子(フリーランス・グラフィックデザイナー)の公開ノート
東京都現代美術館にて、展覧会「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」鑑賞。
初期の広告デザインから、舞台や映画の美術、衣装デザインまで、石岡さんのアートワークを網羅した展覧会。
グラフィックデザイン、特にポスターは今見ても凄みを感じずにはいられない。
『地獄の黙示録』と『イノセント』の実物ポスターを観られたこと、各種印刷物の色校正の赤字を観られたことは収穫だった。
この展覧会を観ると改めて、現代のクリエイティブに多大な影響を与えた方だということがよくわかる。
【関連URL】
● 石岡瑛子 | 展覧会 | 東京都現代美術館|MUSEUM OF CONTEMPORARY ART TOKYO
シアター・イメージフォーラムで、装幀者・菊地信義と本をつくる人々のドキュメンタリー映画『つつんで、ひらいて』鑑賞。
制作過程において、菊地さんがどのように考え、どのようにデザインしているのかを見ることができる貴重な映画。
【関連URL】
●映画『つつんで、ひらいて』公式サイト
『PRODISM』創刊号の表紙デザイン
画像: 創芸社 ( http://www.prodism.com/ )
メンズファッション誌『PRODISM』創刊号のブックデザインです。
編集長は渡邊敦男さんで、明日10月24日に発売(価格:980円)されます。
『PRODISM』は、大人のためのプロダクト・ファッションマガジンとして創刊されますが、そのテーマに基づいたルールが気になります。
それは、
「プロダクト至上主義」をテーマに、既存のメンズファッション誌にはない独自の世界観を提案する。
というもので、
『有名人・著名人に限らず、「顔」は一切出さない』
そうです。
すべてのページで「物」を中心に扱うのは、カタログでは普通の事ですが、ファッション雑誌では、めずらしいやり方です。
その背景にはブランドやトレンドより、「自分にあったもの」「自分が本当にほしいもの」へと、想定する読者の趣向が変化している事も大きいのではないか、と思います。
以前、「雑誌『ハーパーズ バザー』創刊の広告デザイン」という記事でも書きましたが、「ハーパーズ バザー」創刊を伝える駅貼りポスターも、モデルの顔を出さないでデザインされていました。
このような流れは、ここ数年来のライフスタイル提案や使用イメージといった広告の逆を行くものです。これが変化の予兆だとすると興味深いですね。
または「従来のライフスタイル提案・使用イメージを喚起する広告」と同じ方針で手法だけ逆にして、より読者の使用イメージを強調するため、なのかもしれません。
今まではモデルのカリスマ性によって、商品が売れていたと仮定しましょう。だけど、読者にとってモデルは他人です。自分ではありません。だからモデルの顔を消して、使用イメージだけを見せます。
つまり、
「モデルのカリスマ性で服を売る」から「洋服を売るためのモデル」
という本質へと立ち返るのです。
前回は、 「デザインの背景と存在価値について:『ドクターマーチン』のディスプレイデザイン」という記事を書きました。これは今回のものと真逆の手法ですが、どちらが正しいというものではなく、その時々でその会社やブランドに相応しいやり方を選ぶ必要があるのです。
とにもかくにも、「どのような手法で展開するのか」、「どのようにして魅せていくのか」、今後を楽しみに注目していきたいと思います。
【関連URL】
●PRODISM(プロディズム)10/24雑誌創刊!|創芸社
●ブックデザイン・装丁 制作事例 | グラフィックデザイン事務所 DESIGN+SLIM 東京・神奈川
【以前の雑誌に関する記事はこちら】
雑誌『ハーパーズ バザー』創刊の広告デザイン : グラフィックデザイナーのノート
【比較・対象の記事はこちら】
デザインの背景と存在価値について:『ドクターマーチン』のディスプレイデザイン : グラフィックデザイナーのノート
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グラフィックデザイン:DESIGN+SLIM
フリーペーパー『メトロミニッツ No.131』のエディトリアルデザインです。
駅構内で、10月号が配布されていました。
特集は「ラディカルでアバンギャルドで革命的な前衛派日本酒」です。
表紙は黒バックで、日本酒のボトルやグラスがレイアウトされていますが、「前衛派」というキーワードが、ぴったりのデザインですね。特色のシルバーも映えて、とても美しいです。
ラディカル、アバンギャルド、革命的、前衛派。
これらキーワードのすべてが、かつては未来感を示していたのですが、現在では逆にノスタルジーを誘う言葉になっています。
音楽で言えば、「ダフトパンク」や「YMO」や「クラフトワーク」、工業デザインで言えば、アメリカ60年代に多く見られたアトミックなデザイン、文学で言えば「ウイリアム・ギブソン」といったところでしょうか。
そういうキーワードをこれでもかとばかりに、ありったけ詰め込んで日本酒と組み合わせるというやり方はクレバーで、映画を観ているようなワクワク感を感じさせます。
かつて焼酎の『いいちこ』のボトルデザインでも多く見られた手法です。
調べていないので正確なところはわからないのですが、日本酒業界は問題意識が高く、マーケティングに積極的な業界なのかもしれません。
デザイナーとして、日本酒のラベルやボトルは注視していきたいと思います。
中面の特集ページは、個性的なフォントを用いてデザインされています。
表紙のボトルは、モノトーンで表現されていましたが、特集ページのトビラ(見開き)のボトルは、カラーで色とりどりにレイアウトされていました。表紙とはまた違ったイメージで、こちらも素敵なデザインだと思いました。
『メトロミニッツ』のアートディレクションは、「グルーヴィジョンズ」です。
【関連URL】
●エディトリアルデザイン 制作事例 | グラフィックデザイン事務所 DESIGN+SLIM 東京・神奈川
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グラフィックデザイン:DESIGN+SLIM