アメリカのビジネスパートナーからは効率性や価格設定、サイズ感などを学び、お返しにイギリス的「クール」(アメリカの消費者が憧れる、ひねりのある個性)を教えたそうです。
「マリー・クワント展」は 2023年1月23日(日)まで、渋谷の Bunkamura ザ・ミュージアムで開催されています。
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マリー・クワント展 | Bunkamura
グラフィックデザイン事務所 DESIGN+SLIM
松 利江子(フリーランス・グラフィックデザイナー)の公開ノート
1980年代に「セルジュ・ルタンス」を起用したグローバルイメージのポスターを観ることができたのが収穫でした。
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●美と、美と、美。-資生堂のスタイル展-
『無印良品』で買い物した際に届く、配送用ダンボールのパッケージデザインです。
上部分に定規が印刷されてあり、デザインとしての装飾にもなっています。
開封しダンボールの蓋をひとつ開けると、右側には「お買い上げいただきありがとうございました。」という文字と共に、『無印良品』の「商品」と「ヒト」の味のあるイラストが目に飛び込んできます。
ラーメン屋さんのスープを飲み干すと出てくる、「ありがとうございました」という仕掛けや、コンピュータのOSをインストールした時のメッセージと同じですね。
こういうアイディアは世界にはあまり例はなく、日本に多いのかもしれません。
左側には「お客様へ」という見出しでお礼と注意書き、そしてこちらにもイラストと定規が添えられていました。『無印良品』を代表する商品と、そこで暮らす人々のイラストは、温かくて優しいイメージです。
このダンボールを見た時、「良品計画」の企業姿勢がとてもよく現れていると思いました。
今は価格を競うか、熱烈なファンを多く持つか、企業姿勢が克明に現れています。
「売るまで」ではなく、「売った後」のマーケティングを大切にしている『無印良品』のような会社は、多くのファンを持つ会社です。
こういった会社はブランディングを重視しているので、顧客満足度を高める事を大切に考えています。
このような文章、イラストや定規は、本来であれば「必要ないもの」ですが、これがあることによってクール(格好良い)な企業ではなく、「ヒト」の温かみが伝わってくるのです。
その「生活感の温かみ」こそが『無印良品』の考える「自社の強み」なのでしょう。
おまけを付けるとか、手紙を入れるというのは思い付きで浮かぶアイディアですが、「お礼と共に定規やイラストを印刷しておく」というのは思い付きにくいだけに、本当の意味で気が利いています。
商品が届いた場所は、引っ越したばかりのまだ何もない殺風景な部屋かもしれませんし、購入した商品が届いた際に、大きさを確認するための定規が必要かもしれません。そんな時にこのダンボールが届くと、自分で買ったものであっても、ちょっとした嬉しい贈り物のような気分になります。
本気で「ヒト」を喜ばそうと思うなら、本当の意味で「ちょっと気が利いた」アイディアが必要で、それが出来る会社はその難しさを良く知っている会社であり、そういった会社はあまりないと思います。
生活に関わる商品を扱う場合、生活のイメージや人の気配が感じられることは、とても大切なことです。「モノ」を売るということは、販売して終わりなのではなく、梱包と発送も含めた商品の受け渡し方、その先の使用状況まで、イメージし配慮する必要があります。
これは商品だけではなく、サービス全般、生活の中のすべてにおいても言える事です。
バブル期の頃、各国の航空会社のサービスを見るとその国の国民性がわかるという記事を読みました。
例えば、アメリカの航空会社は親友っぽい態度でサービスをするとか、そういう内容で、
日本の航空会社は殿様のようにお客様を扱うと書いてあったのを覚えています。
そのように考えると、三波春夫さんが「お客様は神様です」と言った、高度成長期からバブルまでは同じ価値観で、今は「殿様のように丁重に」ではなく、無印良品のダンボールが示すように「気が利いたヒト」が、現在のブランディングデザインかもしれません。
このような変化に敏感である事も、デザインの成果を左右する上で大切な要素である事は間違いありません。
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●無印良品
松竹梅白壁蔵『澪』ボトルのパッケージデザインです。
最近、今までにない日本酒のプロモーションを見かけます。
宝酒造株式会社から発売されている、松竹梅白壁蔵『澪』もそのひとつです。
「これが、私の新しい日本酒。」というコピーと共に、女性がシャンパングラスに入った「スパークリング清酒」を持っている広告は、女性にはとても惹かれるものになっていると思いました。
「泡が立ちのぼる様子をイメージした」というオリジナルボトルは、色遣いやその形状から、まるで化粧品のようにも見えます。
日本酒と言えば「年輩の男性」というイメージでしたが、「若い女性」をターゲットにした「スパークリング清酒」は、新たな日本酒の在り方を打ち出したものになっていました。
『澪』のWebサイトには、
『澪』とは、「浅瀬の水の流れ」、「船の通った泡の跡」という意味。
浅さを低アルコール、泡の跡を発泡性にたとえ、清酒の新しい流れを作る、
という想いを込めて『澪』と名付けました。
そして『MIO』は、イタリア語で「私の」という意味。
「私のお酒」と感じてもらえるよう、願いを込めています。
と、記載されています。
『澪』は「清酒の新しい流れを作る」ことを目指した商品ですが、その実現に成功していると思います。
私も飲んでみたのですが、女性向けのボトルデザインと、スパークリングで5%というアルコール度数は、今まで日本酒と接点のなかった層に向けて作られたものだということがよくわかりました。
日本酒は「Rice Wine」と英語圏では説明されます。
また、大抵の日本酒は洋酒と比較して甘口なので「女性の側に一度寄せてみる」というのは野心的に見えて、実は確実な試みなのかもしれません。
「日本酒は男性のもの」という固定観念をデザインで突破するも、本質は外していないという理想的なチャレンジに思えます。
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グラフィックデザイン:DESIGN+SLIM
【関連URL】
●松竹梅白壁蔵「澪(みお)」MIO スパークリング清酒 | 宝酒造株式会社
【以前の日本酒に関する記事はこちら】
●「レトロなフューチャー・イメージ」の使い方:『メトロミニッツ No.131』のエディトリアルデザインとマーケティングについて : グラフィックデザイナーのノート
【以前のボトルデザインに関する記事はこちら】
●『エビアン』2014年のデザイナーズボトルは「エリー・サーブ」 : グラフィックデザイナーのノート
東ハト『オールプルーン』『オールオサツ』のパッケージデザインです。
「オールレーズン」で知られる、「オールシリーズ」として発売されています。
「オールレーズン」は、1972年に発売され、約40年に渡るロングセラーとなっている商品です。
以前のパッケージは、正統派のお菓子といった印象でしたが、リニューアルされた際に「All」の文字が可愛らしいキャラクターになり、とても親しみやすいイメージになりました。
「All Raisin」「 All Apple」といったように、「オールシリーズ」の商品名のロゴとして、このキャラクターを使用するのは、とてもいいアイディアですね。スーパーやコンビニの棚で見かけても、一目で「オールシリーズ」の商品だとわかりました。
お菓子は「おやつ」として、一息つく時やリラックスしたい時などに、食べることが多いのではないかと思います。そんな時に、このキャラクターの可愛い笑顔に触れると、「おやつってそういうものだよね」とよりリラックスできるのではないかと思いました。
限定も高級感もそれはそれで素晴らしいとは思いますが、何より素晴らしいのは「おやつとは何か?」という本質と向き合う東ハトさんの真摯さだと思います。
このような「工夫」と「遊び心」は、デザインにおいてとても大切なことです。このリニューアルにより、私はすっかり「オールシリーズ」のファンになりました。パッケージと共に中身もリニューアルされ、どれも更に美味しくなっています。
ちなみに、『オールプルーン』は、期間限定だったようで、現在は取り扱いがないようです。
『オールプルーン』『オールオサツ』は、どちらもとても美味しかったので、またの発売を楽しみにしています。毎年、この時期にこうやって思い出されるようになるのと、「オールレーズン」だけを一年中売り続けていくのとでは、やはり企業イメージも全然違ってきますね。
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●CI・ロゴのデザイン事例 | グラフィックデザイン事務所 DESIGN+SLIM 東京・神奈川
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