グラフィックデザイナーのノート

松 利江子(フリーランス・グラフィックデザイナー)の公開ノート

カテゴリ: CIデザイン

フィリップス・ブランディング・CI・ロゴ・デザイン1

Philips の新ロゴデザイン

 ( http://www.philips.co.jp/ ) 



フィリップス・ブランディング・CI・ロゴ・デザイン2

Philips の新ブランドライン「innovation and you」

 ( http://www.philips.co.jp/ ) 




「フィリップス」から、盾(シールド)を使った新ロゴデザイン新ブランドライン「innovation and you」が発表されました。


新しいロゴデザインは、「従来のデザイン要素を保ちつつ、デジタルメディアとモバイルチャネルにより適した、21世紀を反映する新しいデザイン」ということで、今までのロゴに比べ、ラインは美しく、色は明るく強く表現され、洗練されたイメージに刷新されています。


今回から、新ブランドライン「innovation and you」が加わることによって、従来のロゴの改訂だけではなく、創業以来変わらないミッションを、より明確にしたものになったと思いました。


創業以来のミッションとは、

「斬新な選択により人々の暮らしをより豊かにする」

というものです。


また、「イノベーションを通じて皆様に貢献できることは何か」ということを常に考え、「『イノベーションで何ができるか』ではなく、『イノベーションを通じて皆様に貢献できることは何か』を重視している」ということから、新ブランドライン「innovation and you」は、人々の暮らしを更に豊かにしていくのだという、決意表明であると感じられました。

この感覚は、敗戦後、貧しかった日本を「廉価で高品質な家電製品で豊かにする」ことをミッションとしたパナソニック創業者・松下幸之助の哲学と近いものだと思います。


企業ロゴは、言わば会社の看板です。その看板であるロゴの刷新は、社外へ自社のミッションを示す以外にも、社内で社員の一人一人が、ミッションを再確認し共有する絶好の機会にもなります。


社外へ示す自社のミッションとは、顧客との約束と同意です。

約束という形のない、しかし必ず守らなければならないものをデザインしてロゴとして提示する事に、並大抵の試行錯誤とデザイン能力が必要な事は言うまでもありません。

「『イノベーション』を通じて皆様に貢献できる事は何か」というのは当然、顧客満足のためのミッションであり、その宣言はフィリップス社だけではなく、昨今、多くの企業で表明されているものです。つまり、時代の変化と言えるでしょう。

今回のフィリップス社のロゴデザインも単純にデザインが古くなったからというのではなく、時代のニーズ/ウォンツが変わったので、ロゴのデザインを変えたという事です。

そして逆説的に言えば、ロゴを変更した時に前のデザインが古く感じられない、クライアント企業の要請が感じられないデザインであれば、そのロゴデザインは時代に合っていない可能性があります。


企業がロゴを変えた時、そこにどのような想いや狙いが込められているのか、を企業のプレスリリースをチェックして読み解いてみる事は、私たちが生きている今の時代を読み解く事に繋がります。

デザインを何故、新しくしたのか、はプレスリリースに記述されますから、それを手がかりとして既存のデザインと新しいデザインを比較・検証してみる事は、とても大切な事なのです。



●Philips. Innovation and you. (Japanese)

「フィリップス」が提供するプロダクトデザインとそのミッションを示すムービー

(日本語の字幕が入っています)




●The design story of the new Philips shield

「フィリップス」の古い製品から現在までの、ロゴの変化と制作行程が見られます。




本社のあるアムステルダムで行われた、今回の新ロゴデザインの発表会は、大々的にプロジェクションマッピングを用いたものでした。ビルの窓を「フィリップス」の電動歯ブラシが磨いていく様子は圧巻です。このような新しいテクノロジーで人々を喜ばせることは、「斬新な選択により人々の暮らしをより豊かにする」というミッションを、そのまま反映させた発表会だと思いました。「豊かさ」は楽しさとセットなのかもしれません。


●Philips - Innovation and you - brand announcement light projection event

プロジェクションマッピングを用いた「フィリップス」の新ロゴデザインの発表会




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【ブランディングデザイン・ロゴデザインの関連記事】

High Times R: 『Bing』の新ブランドデザイン +「フラットデザイン」は必然。
 

【関連URL】

Philips - 日本

グラフィックデザイン・パンフレット・カタログ・冊子・ロゴなどのデザイン制作事例 | グラフィックデザイン事務所 DESIGN+SLIM 東京・神奈川


CI・ロゴのデザイン事例 | グラフィックデザイン事務所 DESIGN+SLIM 東京・神奈川


オールプルーン・オールオサツ・パッケージ・ロゴ・デザイン1

東ハト『オールプルーン』『オールオサツ』パッケージデザインです。

「オールレーズン」で知られる、「オールシリーズ」として発売されています。


「オールレーズン」は、1972年に発売され、約40年に渡るロングセラーとなっている商品です。

以前のパッケージは、正統派のお菓子といった印象でしたが、リニューアルされた際に「All」の文字が可愛らしいキャラクターになり、とても親しみやすいイメージになりました。


「All Raisin」「 All Apple」といったように、「オールシリーズ」の商品名のロゴとして、このキャラクターを使用するのは、とてもいいアイディアですね。スーパーやコンビニの棚で見かけても、一目で「オールシリーズ」の商品だとわかりました。


オールプルーン・オールオサツ・パッケージ・ロゴ・デザイン2

お菓子は「おやつ」として、一息つく時やリラックスしたい時などに、食べることが多いのではないかと思います。そんな時に、このキャラクターの可愛い笑顔に触れると、「おやつってそういうものだよね」とよりリラックスできるのではないかと思いました。
限定も高級感もそれはそれで素晴らしいとは思いますが、何より素晴らしいのは「おやつとは何か?」という本質と向き合う東ハトさんの真摯さだと思います。


このような「工夫」と「遊び心」は、デザインにおいてとても大切なことです。このリニューアルにより、私はすっかり「オールシリーズ」のファンになりました。パッケージと共に中身もリニューアルされ、どれも更に美味しくなっています。


ちなみに、『オールプルーン』は、期間限定だったようで、現在は取り扱いがないようです。

『オールプルーン』『オールオサツ』は、どちらもとても美味しかったので、またの発売を楽しみにしています。毎年、この時期にこうやって思い出されるようになるのと、「オールレーズン」だけを一年中売り続けていくのとでは、やはり企業イメージも全然違ってきますね。



【関連URL】

株式会社 東ハト/商品カタログ/オールレーズン


CI・ロゴのデザイン事例 | グラフィックデザイン事務所 DESIGN+SLIM 東京・神奈川


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東京オリンピック・招致・ポスターデザイン

東京での「オリンピック・パラリンピック」の開催決定を祝うポスターです。

駅構内に貼られていました。


センターに配置されているロゴマークは、公募で選出された島峰藍さん(女子美術大学・4年)の作品です。最終的に、株式会社GKグラフィックスの久田邦夫さんがアートディレクションし、栄久庵憲司さんが監修され、島峰さんが仕上げたそうです。


日の丸のイメージに、日本らしい桜と、オリンピックカラーがマッチしていて、いいデザインだと思いました。オリンピックカラー以外で使用されている紫は、「江戸むらさき」で、東京を表す色だそうです。古来より日本で紫は、特別に格式の高い色となっています。ここで紫を選択するという判断は、きちんと知識を持っていなければ思い浮かばないでしょう。


これだけ素敵なデザインですが、これは招致ロゴなので、正式なロゴはこれから制作されるようですね。前回(1964年)の「東京オリンピック」ロゴデザイン亀倉雄策さんでしたが、今回はどのような形でデザインが決定していくのか、今からとても楽しみです。


デザイン史においても、ピックアップされる事の多い「オリンピックとそれにまつわるデザインの関係」。これから開催までにどのようなデザインが展開がされていくのか、2020年まで注目していきたいと思います。



【関連URL】

TOKYO 2020|2020年、オリンピック・パラリンピックを日本で!


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