グラフィックデザイナーのノート

松 利江子(フリーランス・グラフィックデザイナー)の公開ノート

カテゴリ: ブランディングデザイン

アラン ミクリ・ディスプレイデザイン1

「アラン ミクリ」(alain mikli)のディスプレイデザインです。
銀座駅の地下通路に設置されていました。


アラン ミクリ・ディスプレイデザイン2

「アラン ミクリ」のメガネは色彩の豊かさが魅力ですが、今回のディスプレイでは、アイコンカラーの「ブラック」と「レッド」が使用されています。店舗のアニバーサリープロジェクトも「アニバーサリーカラー」として「ブラック」と「レッド」を用いたデザインになっていました。


アラン ミクリ・ディスプレイデザイン3

近年のファッション業界では、『ノームコア』(「ノーマル」と「ハードコア」を合わせた造語で、「究極の普通」を意味する)がトレンドだと言われています。ファストファッション全盛の時代にあって、あくまで「アラン ミクリ」のモードの王道を行くぶれない感じは、突き抜けた、揺るぎない自信があたかも宣言のように伝わってきます。
 

コンセプトは「見るための、そして見られるためのメガネ」です。
実用価値と付加価値、上質のツール(道具)としてもモードのアイテムとしても、
完璧主義を貫く意志。
ディスプレイデザインもそんなコンセプトに沿ったデザインになっていました。



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::: アランミクリ オフシャルサイト :::



McDonald's-American-Vintage-Life-poster-design

マクドナルド「American Vintage」キャンペーンポスターデザインです。


「アメリカンヴィンテージ」キャンペーンは、1950年代~1980年代の「古き良き時代のアメリカ」コンセプトに、期間限定で行われています。


写真は、第1弾の「American Vintage '50s」ポスターで、店内に掲載されていたものです。使用されているフォントイラストは、50年代風にデザインされていました。もちろん、コンピュータなどなかった時代なので、日本語の文字も手書きのような雰囲気に仕上げられています。

また、ポスターだけではなく、店内の至る所にそのようなデザインをした装飾がされていました。


飲食店の店舗は、和食なら和風に、イタリアンならイタリアらしい店舗設計をするものですが、今回のような一定期間のキャンペーンであれば、ベースはそのままに、印刷物を用いて店内を装飾することができます。


「古き良き時代のアメリカ」を、「味覚」だけではなく、「視覚」でも、感じられるようになっていました。「古き良き時代のアメリカ」というは、マクドナルドというブランドの原点に立ち返るアクションである事は言うまでもありません。


時に時代や環境に適応するあまり、ブランドは個性を失ってしまう事があります。

しかし、その個性を失う事はお客様に選んでもらう理由を失う事にも繋がる危険があるのです。


今更、「古き良き時代のアメリカ」と言われてもピンと来ない程、マクドナルドは完全に日本に定着している企業です。そのマクドナルドが打って出た今回の手について、こうなるに至るまでの経緯を検証しながら色々と考えてみる必要がありそうです。


ちなみに現在は、第2弾の「American Vintage '70s」のキャンペーンが開催されていて、第3弾の「American Vintage  '80s」まであるようです。




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【関連URL】

American Vintage Life | キャンペーン | McDonald's


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フィリップス・ブランディング・CI・ロゴ・デザイン1

Philips の新ロゴデザイン

 ( http://www.philips.co.jp/ ) 



フィリップス・ブランディング・CI・ロゴ・デザイン2

Philips の新ブランドライン「innovation and you」

 ( http://www.philips.co.jp/ ) 




「フィリップス」から、盾(シールド)を使った新ロゴデザイン新ブランドライン「innovation and you」が発表されました。


新しいロゴデザインは、「従来のデザイン要素を保ちつつ、デジタルメディアとモバイルチャネルにより適した、21世紀を反映する新しいデザイン」ということで、今までのロゴに比べ、ラインは美しく、色は明るく強く表現され、洗練されたイメージに刷新されています。


今回から、新ブランドライン「innovation and you」が加わることによって、従来のロゴの改訂だけではなく、創業以来変わらないミッションを、より明確にしたものになったと思いました。


創業以来のミッションとは、

「斬新な選択により人々の暮らしをより豊かにする」

というものです。


また、「イノベーションを通じて皆様に貢献できることは何か」ということを常に考え、「『イノベーションで何ができるか』ではなく、『イノベーションを通じて皆様に貢献できることは何か』を重視している」ということから、新ブランドライン「innovation and you」は、人々の暮らしを更に豊かにしていくのだという、決意表明であると感じられました。

この感覚は、敗戦後、貧しかった日本を「廉価で高品質な家電製品で豊かにする」ことをミッションとしたパナソニック創業者・松下幸之助の哲学と近いものだと思います。


企業ロゴは、言わば会社の看板です。その看板であるロゴの刷新は、社外へ自社のミッションを示す以外にも、社内で社員の一人一人が、ミッションを再確認し共有する絶好の機会にもなります。


社外へ示す自社のミッションとは、顧客との約束と同意です。

約束という形のない、しかし必ず守らなければならないものをデザインしてロゴとして提示する事に、並大抵の試行錯誤とデザイン能力が必要な事は言うまでもありません。

「『イノベーション』を通じて皆様に貢献できる事は何か」というのは当然、顧客満足のためのミッションであり、その宣言はフィリップス社だけではなく、昨今、多くの企業で表明されているものです。つまり、時代の変化と言えるでしょう。

今回のフィリップス社のロゴデザインも単純にデザインが古くなったからというのではなく、時代のニーズ/ウォンツが変わったので、ロゴのデザインを変えたという事です。

そして逆説的に言えば、ロゴを変更した時に前のデザインが古く感じられない、クライアント企業の要請が感じられないデザインであれば、そのロゴデザインは時代に合っていない可能性があります。


企業がロゴを変えた時、そこにどのような想いや狙いが込められているのか、を企業のプレスリリースをチェックして読み解いてみる事は、私たちが生きている今の時代を読み解く事に繋がります。

デザインを何故、新しくしたのか、はプレスリリースに記述されますから、それを手がかりとして既存のデザインと新しいデザインを比較・検証してみる事は、とても大切な事なのです。



●Philips. Innovation and you. (Japanese)

「フィリップス」が提供するプロダクトデザインとそのミッションを示すムービー

(日本語の字幕が入っています)




●The design story of the new Philips shield

「フィリップス」の古い製品から現在までの、ロゴの変化と制作行程が見られます。




本社のあるアムステルダムで行われた、今回の新ロゴデザインの発表会は、大々的にプロジェクションマッピングを用いたものでした。ビルの窓を「フィリップス」の電動歯ブラシが磨いていく様子は圧巻です。このような新しいテクノロジーで人々を喜ばせることは、「斬新な選択により人々の暮らしをより豊かにする」というミッションを、そのまま反映させた発表会だと思いました。「豊かさ」は楽しさとセットなのかもしれません。


●Philips - Innovation and you - brand announcement light projection event

プロジェクションマッピングを用いた「フィリップス」の新ロゴデザインの発表会




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【ブランディングデザイン・ロゴデザインの関連記事】

High Times R: 『Bing』の新ブランドデザイン +「フラットデザイン」は必然。
 

【関連URL】

Philips - 日本

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CI・ロゴのデザイン事例 | グラフィックデザイン事務所 DESIGN+SLIM 東京・神奈川


『無印良品』の梱包・パッケージデザイン1

『無印良品』で買い物した際に届く、配送用ダンボールのパッケージデザインです。

上部分に定規が印刷されてあり、デザインとしての装飾にもなっています。


『無印良品』の梱包・パッケージデザイン2

開封しダンボールの蓋をひとつ開けると、右側には「お買い上げいただきありがとうございました。」という文字と共に、『無印良品』の「商品」と「ヒト」の味のあるイラストが目に飛び込んできます。

ラーメン屋さんのスープを飲み干すと出てくる、「ありがとうございました」という仕掛けや、コンピュータのOSをインストールした時のメッセージと同じですね。

こういうアイディアは世界にはあまり例はなく、日本に多いのかもしれません。


『無印良品』の梱包・パッケージデザイン3

左側には「お客様へ」という見出しでお礼と注意書き、そしてこちらにもイラストと定規が添えられていました。『無印良品』を代表する商品と、そこで暮らす人々のイラストは、温かくて優しいイメージです。


このダンボールを見た時、「良品計画」の企業姿勢がとてもよく現れていると思いました。

今は価格を競うか、熱烈なファンを多く持つか、企業姿勢が克明に現れています。

「売るまで」ではなく、「売った後」のマーケティングを大切にしている『無印良品』のような会社は、多くのファンを持つ会社です。

こういった会社はブランディングを重視しているので、顧客満足度を高める事を大切に考えています。

このような文章、イラストや定規は、本来であれば「必要ないもの」ですが、これがあることによってクール(格好良い)な企業ではなく、「ヒト」の温かみが伝わってくるのです。

その「生活感の温かみ」こそが『無印良品』の考える「自社の強み」なのでしょう。


おまけを付けるとか、手紙を入れるというのは思い付きで浮かぶアイディアですが、「お礼と共に定規やイラストを印刷しておく」というのは思い付きにくいだけに、本当の意味で気が利いています。

商品が届いた場所は、引っ越したばかりのまだ何もない殺風景な部屋かもしれませんし、購入した商品が届いた際に、大きさを確認するための定規が必要かもしれません。そんな時にこのダンボールが届くと、自分で買ったものであっても、ちょっとした嬉しい贈り物のような気分になります。

本気で「ヒト」を喜ばそうと思うなら、本当の意味で「ちょっと気が利いた」アイディアが必要で、それが出来る会社はその難しさを良く知っている会社であり、そういった会社はあまりないと思います。


生活に関わる商品を扱う場合、生活のイメージや人の気配が感じられることは、とても大切なことです。「モノ」を売るということは、販売して終わりなのではなく、梱包と発送も含めた商品の受け渡し方、その先の使用状況まで、イメージし配慮する必要があります。


これは商品だけではなく、サービス全般、生活の中のすべてにおいても言える事です。


バブル期の頃、各国の航空会社のサービスを見るとその国の国民性がわかるという記事を読みました。

例えば、アメリカの航空会社は親友っぽい態度でサービスをするとか、そういう内容で、

日本の航空会社は殿様のようにお客様を扱うと書いてあったのを覚えています。

そのように考えると、三波春夫さんが「お客様は神様です」と言った、高度成長期からバブルまでは同じ価値観で、今は「殿様のように丁重に」ではなく、無印良品のダンボールが示すように「気が利いたヒト」が、現在のブランディングデザインかもしれません。

このような変化に敏感である事も、デザインの成果を左右する上で大切な要素である事は間違いありません。



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【関連URL】

無印良品

ドクターマーチン・店頭・ブランディングデザイン

東京・青山にある『Dr. Martens』ディスプレイデザインです。

イギリスらしい、クラシカルな店舗デザインになっていました。


『Dr. Martens』は、「労働者の象徴」からスタートしたブランドです。その後「Mod's」から派生した「スキンヘッズ」、「ストリートギャングの象徴」となり、1970年中頃には、パンクロッカーとファンの間で愛用されました。そして『Dr. Martens』のブーツと靴は、ユースカルチャーと結び付き、今に至ります。


背景には、階級社会があるのでしょう。ホワイトカラーは安全靴は履きませんからね。

また、良く知られている通り、イギリスはブラック・ユーモアや皮肉が発達した国です。だから階級社会と言ってもどちらが上とか下ではなく、単純に別のものであり、個人として誇りを持つ事を「たくましさ」と考えられているのでしょう。カウンター・カルチャー(非サブカル)とはそういうものです。


ドクターマーチン・店舗・ディスプレイデザイン

ショーウインドウには、商品と人物のコラージュと、靴やバッグがバランスよく飾られていました。展開されているアイテムと、それらがある生活を切り取ったコラージュは、購入後のライフスタイル・商品の使用イメージを喚起させるものです。


そのような演出はファッションやインテリアの場合、とりわけ有効だと思います。それらが特別なシーンではなく、よくある日常の一コマであることによって、リアリティを感じさせるものになっているからです。


そしてコラージュの、写真を少し荒っぽく破いた感じと、「THE WHO」も使用したターゲットマーク(オリジナルは、英国空軍のマーク)が、何より『Dr. Martens』のテイストであると思います。


なぜ、こういうデザインがされているのか。

このブランドがなぜ、こういうポジションにあるのか。

見た目だけではなくそういった背景を抑えなければ、デザインの力はきちんと使えません。


世の中に素敵なデザインは沢山あります。

だけど素敵なデザインに触れた時、上辺ではなく、成り立ちを掘り下げる事や在り方について一度考えてみる。そういう事を知ると、デザインはもっと味わい深い、楽しみになるのです。



【関連URL】

ドクターマーチン・エアウエアジャパン Dr.Martens Air Wair, Japan./オフィシャルサイト


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