東京・青山にある『Dr. Martens』のディスプレイデザインです。
イギリスらしい、クラシカルな店舗デザインになっていました。
『Dr. Martens』は、「労働者の象徴」からスタートしたブランドです。その後「Mod's」から派生した「スキンヘッズ」、「ストリートギャングの象徴」となり、1970年中頃には、パンクロッカーとファンの間で愛用されました。そして『Dr. Martens』のブーツと靴は、ユースカルチャーと結び付き、今に至ります。
背景には、階級社会があるのでしょう。ホワイトカラーは安全靴は履きませんからね。
また、良く知られている通り、イギリスはブラック・ユーモアや皮肉が発達した国です。だから階級社会と言ってもどちらが上とか下ではなく、単純に別のものであり、個人として誇りを持つ事を「たくましさ」と考えられているのでしょう。カウンター・カルチャー(非サブカル)とはそういうものです。
ショーウインドウには、商品と人物のコラージュと、靴やバッグがバランスよく飾られていました。展開されているアイテムと、それらがある生活を切り取ったコラージュは、購入後のライフスタイル・商品の使用イメージを喚起させるものです。
そのような演出はファッションやインテリアの場合、とりわけ有効だと思います。それらが特別なシーンではなく、よくある日常の一コマであることによって、リアリティを感じさせるものになっているからです。
そしてコラージュの、写真を少し荒っぽく破いた感じと、「THE WHO」も使用したターゲットマーク(オリジナルは、英国空軍のマーク)が、何より『Dr. Martens』のテイストであると思います。
なぜ、こういうデザインがされているのか。
このブランドがなぜ、こういうポジションにあるのか。
見た目だけではなくそういった背景を抑えなければ、デザインの力はきちんと使えません。
世の中に素敵なデザインは沢山あります。
だけど素敵なデザインに触れた時、上辺ではなく、成り立ちを掘り下げる事や在り方について一度考えてみる。そういう事を知ると、デザインはもっと味わい深い、楽しみになるのです。
【関連URL】
●ドクターマーチン・エアウエアジャパン Dr.Martens Air Wair, Japan./オフィシャルサイト
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グラフィックデザイン:DESIGN+SLIM