『無印良品』の梱包・パッケージデザイン1

『無印良品』で買い物した際に届く、配送用ダンボールのパッケージデザインです。

上部分に定規が印刷されてあり、デザインとしての装飾にもなっています。


『無印良品』の梱包・パッケージデザイン2

開封しダンボールの蓋をひとつ開けると、右側には「お買い上げいただきありがとうございました。」という文字と共に、『無印良品』の「商品」と「ヒト」の味のあるイラストが目に飛び込んできます。

ラーメン屋さんのスープを飲み干すと出てくる、「ありがとうございました」という仕掛けや、コンピュータのOSをインストールした時のメッセージと同じですね。

こういうアイディアは世界にはあまり例はなく、日本に多いのかもしれません。


『無印良品』の梱包・パッケージデザイン3

左側には「お客様へ」という見出しでお礼と注意書き、そしてこちらにもイラストと定規が添えられていました。『無印良品』を代表する商品と、そこで暮らす人々のイラストは、温かくて優しいイメージです。


このダンボールを見た時、「良品計画」の企業姿勢がとてもよく現れていると思いました。

今は価格を競うか、熱烈なファンを多く持つか、企業姿勢が克明に現れています。

「売るまで」ではなく、「売った後」のマーケティングを大切にしている『無印良品』のような会社は、多くのファンを持つ会社です。

こういった会社はブランディングを重視しているので、顧客満足度を高める事を大切に考えています。

このような文章、イラストや定規は、本来であれば「必要ないもの」ですが、これがあることによってクール(格好良い)な企業ではなく、「ヒト」の温かみが伝わってくるのです。

その「生活感の温かみ」こそが『無印良品』の考える「自社の強み」なのでしょう。


おまけを付けるとか、手紙を入れるというのは思い付きで浮かぶアイディアですが、「お礼と共に定規やイラストを印刷しておく」というのは思い付きにくいだけに、本当の意味で気が利いています。

商品が届いた場所は、引っ越したばかりのまだ何もない殺風景な部屋かもしれませんし、購入した商品が届いた際に、大きさを確認するための定規が必要かもしれません。そんな時にこのダンボールが届くと、自分で買ったものであっても、ちょっとした嬉しい贈り物のような気分になります。

本気で「ヒト」を喜ばそうと思うなら、本当の意味で「ちょっと気が利いた」アイディアが必要で、それが出来る会社はその難しさを良く知っている会社であり、そういった会社はあまりないと思います。


生活に関わる商品を扱う場合、生活のイメージや人の気配が感じられることは、とても大切なことです。「モノ」を売るということは、販売して終わりなのではなく、梱包と発送も含めた商品の受け渡し方、その先の使用状況まで、イメージし配慮する必要があります。


これは商品だけではなく、サービス全般、生活の中のすべてにおいても言える事です。


バブル期の頃、各国の航空会社のサービスを見るとその国の国民性がわかるという記事を読みました。

例えば、アメリカの航空会社は親友っぽい態度でサービスをするとか、そういう内容で、

日本の航空会社は殿様のようにお客様を扱うと書いてあったのを覚えています。

そのように考えると、三波春夫さんが「お客様は神様です」と言った、高度成長期からバブルまでは同じ価値観で、今は「殿様のように丁重に」ではなく、無印良品のダンボールが示すように「気が利いたヒト」が、現在のブランディングデザインかもしれません。

このような変化に敏感である事も、デザインの成果を左右する上で大切な要素である事は間違いありません。



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