グラフィックデザイナーのノート

松 利江子(フリーランス・グラフィックデザイナー)の公開ノート

タグ:プロダクトデザイン

「ヘザウィック・スタジオ展」01

「ヘザウィック・スタジオ展:共感する建築」を観てきました。
ロンドンで設立されたデザイン集団、ヘザウィック・スタジオの日本初の展覧会です。

以下の6つのセクションで構成されていて、それぞれのセクションは独自のテーマを持ち、特定の要素を展示しています。
 
1. ひとつになる
2. みんなとつながる
3. 彫刻的空間を体感する
4. 都市空間で自然を感じる
5. 記憶を未来へつなげる
6. 遊ぶ、使う

この展覧会では、ヘザウィック・スタジオの主要プロジェクト28件が展示されていました。スタジオのデザインは、自然界のエネルギーや建築物の記憶を取り入れつつ、都市計画のような大規模プロジェクトでも「ヒューマン・スケール(wellbeing)」を重視しています。 


「ヘザウィック・スタジオ展」02
電気自動車のコンセプトカー「エアロ」


「ヘザウィック・スタジオ展」03
2021年に完成した「サウザンド・ツリーズ」(上海)の展示風景
 

「ヘザウィック・スタジオ展」04
椅子「スパン」。会場では実際に座ることができます。


ヘザウィック・スタジオのデザインの原点は、「魂がこもった建築(building soulful)」であり、人々が集い、対話し、楽しむための空間を創造することにあります。彼らは、ミース・ファン・デル・ローエの「レス・イズ・モア」(少ない方が豊か)という考え方に異を唱え、装飾やデザインではなく、忘れがたい造形や細部の仕上げ、質感ある素材を通じて共感される建築を目指してきました。

モダニズム建築は、機能性や合理性を重視しシンプルで直線的なデザインが特徴です。一方、ポストモダン建築はデザイン性や装飾性を重視し、曲線的な形状や個性的なデザインが多く見られます。この対比についても非常に多くのことを考えさせられる展覧会でした。
 
「ヘザウィック・スタジオ展:共感する建築」は、東京・六本木の東京シティビューにて2023年6月4日(日)まで開催されています。


 【関連URL】 

イッタラ表参道ストア&カフェ_01
先日鑑賞した「イッタラ展 フィンランドガラスのきらめき」が素晴らしかったので、東京の表参道にある「Iittala Omotesando store & café」(イッタラ表参道ストア&カフェ)にも行ってきました。
店舗デザインは建築家の隈研吾さん(株式会社隈研吾建築都市設計事務所主宰)で、イッタラの製品を扱っている直営ショップとカフェが併設されています。


イッタラ表参道ストア&カフェ_02
カフェ店内からの風景。


イッタラ表参道ストア&カフェ_03
カフェで使用される食器はもちろんイッタラの製品。
グラス「カルティオ」は、デザイナーのカイ・フランクによるもの。
実際にお水と氷が入ったグラスはとても美しいです。


イッタラ表参道ストア&カフェ_04
「ティーマ プレート ハニー」のシナモンロール。


イッタラ表参道ストア&カフェ_05
「ティーマ プレート ホワイト」のサーモン カレリアパイ。


イッタラ表参道ストア&カフェ_06
壁際の棚には「アルヴァ・アアルト コレクション ベース」「バード バイ トイッカ」など。
色の「ウルトラマリンブルー」と「コッパー」は、2022年のアニュアルカラーだそうです。


イッタラ表参道ストア&カフェ_07
右下にあるのは、デザイナーのオイバ・トイッカによるガラスアートシリーズ「ポムポム」。
左下にあるのは「ティーマ マグ」とアラビア製品の「スンヌンタイ」「パラティッシ」。

カフェの店内に展示されている製品は、その年のアニュアルカラーのものや復刻されたものなど、今しか見ることができなかったり買えなかったりするものも多そうです。来店のたびに展示内容も変わっていると思うので、また訪れてみたいと思いました。
直営ショップのカフェは、食器やカトラリーを実際に使用&試用できるのも良いですね。


イッタラ表参道ストア&カフェ_08
カフェの外観。


【ACCESS】
Iittala Omotesando store & café(イッタラ表参道ストア&カフェ)
住所:東京都渋谷区神宮前5-46-7 GEMS青山クロス1階
電話番号:03-5774-0051

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グラフィックデザイン事務所 DESIGN+SLIM 

「イッタラ展」01

「イッタラ展 フィンランドガラスのきらめき」を観てきました。
1881年フィンランド南部のイッタラ村に設立された、フィンランドを代表するライフスタイルブランド「イッタラ」の展覧会です。フィンランド・デザイン・ミュージアムで開催された展覧会を再構成したもので、日本初の大規模巡回展になります。

イッタラの「美しさと機能性をすべての人へ提供する」という哲学と、アルヴァ・アアルト(建築家・プロダクトデザイナー)の「優れたデザインは日常生活の一部であるべき」という思想には強い共感を覚えます。

イッタラの製品はもちろんどれも素晴らしかったのですが、なにより印象に残ったのは「多種多様なデザイナー」と「ガラス職人の存在」です。
「イッタラとデザイナー」のコーナーでは、8人の代表的なデザイナーがプロダクトとともに展示され、「職人の技」のコーナーでは、ガラスの加工道具や加工の工程なども紹介されていました。

イッタラでは、プロダクトデザイナーだけでなく、建築家やグラフィクデザイナーも活躍しています。ディスプレイデザインとグラフィックデザインを担当していたティモ・サルパネヴァは、イッタラの「iロゴ」をデザインし、その後プロダクトもデザインしました。
「サルパネヴァとiロゴ」というコーナーでは、カタログの表紙やパッケージデザインなども展示されています。「広告イメージ 世界観を伝える」というコーナーでは、1950年台の広告イメージも展示されていました。今で言うブランディングデザインにも早くから取り組んでいたことがわかります。
 

「イッタラ展」02
会場入り口付近のポスターには、タピオ・ヴィルカラの作品「カンタレリ(アンズタケ)」が使用されていました。タピオ・ヴィルカラの作品は他にも自然からのインスピレーションを得た作品が多数あります。


「イッタラ展」03
アルヴァ・アアルトによる「アルヴァ・アアルト コレクション」


「イッタラ展」04
やわらかな波形の作品は、フィンランドの湖からインスピレーションを得たとも言われています。奥に写り込んでいるのは、「アアルト・ベース」のドローイングです。
 

「イッタラ展」05
「アアルト・ベース」
吹きガラスと型ガラスの製法を組み合わせて作られています。
会場では「アアルト・ベース」の制作工程のムービーも公開されていました。


イッタラの魅力のひとつに、豊富なカラーバリエーションがあります。
現在のカラーパレットは200色あり、そのうち毎年平均20色が主に使われ、新色も開発し続けているそうです。カラーガラスのサンプルも展示されていて、ガラスの厚さが変わると色がどのように変化するかが3段階で確認できるようになっていました。カラーガラスの開発には、カイ・フランクが大きく貢献しているようです。


「イッタラ展」06
オイバ・トイッカによる「バード バイ トイッカ」

「イッタラ展」07
会場では「バード バイ トイッカ」の製造工程のムービーも公開されていました。
ガラス職人の熟練した手作業を見ることができます。


そのほか、ライフスタイルの変化によるスタッキング(積み重ねること)も印象に残りました。第二次世界大戦後は、マンションなどの集合住宅が増え収納スペースも限られたことから、重ねられる製品が作られました。積み重ねても美しく魅力的な製品は、収納スペースに飾る楽しみもあります。
また近年は、リサイクルガラスを使用した製品の製造やサスティナビリティへの取り組みなど、時代の変化も取り入れているようです。


「イッタラ展 フィンランドガラスのきらめき」は、11月10日(木)まで、渋谷の Bunkamura ザ・ミュージアムで開催されています。

※今回掲載している作品は、会場の3箇所にある撮影可能エリアのものです。

【関連URL】
イッタラ展 フィンランドガラスのきらめき | Bunkamura

グラフィックデザイン事務所 DESIGN+SLIM 



ユニクロのプロジェクト「SPRZ NY」から、イームズとのコラボレーション『SPRZ NY EAMES』が発売されています。

ユニクロ・イームズ・プロダクトデザイン・ファッションデザイン
ユニクロとイームズのコラボレーション、『SPRZ NY EAMES』登場
20世紀のデザイン界の巨匠イームズの世界観をTシャツにのせ、
ニューヨークから世界に発信 - UNIQLO ユニクロ


世界中のクリエイターやデザイン好きに多くの支持を集める、イームズ夫妻の製品は高額なものが多いのですが、ユニクロで商品化されたものはどれも手頃な価格設定になっていました。

商品のラインナップは、「メンズTシャツ」9種(1,500円+税)、「ストール」3種(1,990円+税)、「ブランケット」4種(1,990円+税)、「ルームシューズ」4種(990円+税)です。
店頭で実物を見てみると予想以上のクオリティーで、どれもイームズの良さが出ていました。

ユニクロ・イームズ・プロダクトデザイン・テキスタイルデザイン

私は「ブランケット」を3種購入しました。
テキスタイル・デザインを手掛けたレイ・イームズによるデザインですが、当時のデザインはそのままに、現代の生地にプリントされたものです。枚数を多く揃えてインテリアのアクセントとして使うのも良いですね。
実物のクオリティですが、私個人の見解では申し分のないものと思いました。
優れたテキスタイルデザインは、何年も経った後に製品化されてもやはり素晴らしいものです。
良いコンディションの商品入手が難しく、絶対数の減少によって今後も高額になっていくであろう現状において、今回、イームズ関連のコレクターズ・アイテムとしてはかなり安価に入手できるのは嬉しいですね。
9月25日(月)の発売からしばらく経っているので、お目当ての商品があれば早めに購入した方が良さそうです。



グラフィックデザイン:DESIGN+SLIM
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【関連URL】

アラン ミクリ・ディスプレイデザイン1

「アラン ミクリ」(alain mikli)のディスプレイデザインです。
銀座駅の地下通路に設置されていました。


アラン ミクリ・ディスプレイデザイン2

「アラン ミクリ」のメガネは色彩の豊かさが魅力ですが、今回のディスプレイでは、アイコンカラーの「ブラック」と「レッド」が使用されています。店舗のアニバーサリープロジェクトも「アニバーサリーカラー」として「ブラック」と「レッド」を用いたデザインになっていました。


アラン ミクリ・ディスプレイデザイン3

近年のファッション業界では、『ノームコア』(「ノーマル」と「ハードコア」を合わせた造語で、「究極の普通」を意味する)がトレンドだと言われています。ファストファッション全盛の時代にあって、あくまで「アラン ミクリ」のモードの王道を行くぶれない感じは、突き抜けた、揺るぎない自信があたかも宣言のように伝わってきます。
 

コンセプトは「見るための、そして見られるためのメガネ」です。
実用価値と付加価値、上質のツール(道具)としてもモードのアイテムとしても、
完璧主義を貫く意志。
ディスプレイデザインもそんなコンセプトに沿ったデザインになっていました。



グラフィックデザイン:DESIGN+SLIM
http://designslim.net/
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【関連URL】
::: アランミクリ オフシャルサイト :::


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