グラフィックデザイナーのノート

松 利江子(フリーランス・グラフィックデザイナー)の公開ノート

映画『Ryuichi Sakamoto | Opus』01

昨夜は、映画『Ryuichi Sakamoto | Opus』をSAIONで鑑賞しました。
本作は坂本龍一さんが自ら選曲し、2022年9月に東京のNHK509スタジオで記録されたドキュメンタリーで、最初で最後の長編コンサート映画です。
MCなど一切排したシンプルな構成により、美しい映像と演奏がより際立っていました。


●Opus | Set List
01. Lack of Love
02. BB
03. Andata
04. Solitude
05. for Johann
06. Aubade 2020
07. Ichimei - small happiness
08. Mizu no Naka no Bagatelle
09. Bibo no Aozora
10. Aqua
11. Tong Poo
12. The Wuthering Heights
13. 20220302 - sarabande
14. The Sheltering Sky
15. 20180219(w/prepared piano)
16. The Last Emperor
17. Trioon
18. Happy End
19. Merry Christmas Mr. Lawrence
20. Opus - ending


映画『Ryuichi Sakamoto | Opus』02
入場時に配布されていたセットリストのカード



『Ryuichi Sakamoto | Opus』予告




【関連URL】 
空音央が語る、映画『Ryuichi Sakamoto | Opus』。坂本龍一の「最初で最後のコンサート映画」の裏側


展覧会「ウェス・アンダーソンすぎる風景展」01

「AWA」の展覧会「ウェス・アンダーソンすぎる風景展 あなたのまわりは旅のヒントにあふれている」を渋谷ヒカリエで鑑賞。

「AWA」とは、インスタグラムアカウント「Accidentally Wes Anderson(@accidentallywesanderson)」のことで、ワリー&アマンダ・コーヴァル夫妻が創設した「ウェス・アンダーソン」的な写真を投稿する人気コンテンツです。日本での開催は、前回の寺田倉庫に続いて2度目です。

各セクションに分けられたエリアは、「ウェス・アンダーソン」の映画作品を想起させる構成になっており、写真とともに会場のデザインも楽しめるようになっていました。

  • Welcome Adventurers
  • Open Your Album
  • Mind the Gap
  • The Terminal
  • Cities to Explore
  • Check in, Please
  • European Classic
  • Arabian nights
  • Stars and Stripes
  • Cool Pools
  • Colorful Collection
  • Relax in Nature
  • The Seventh Continent

「The Terminal」エリアは『ダージリン急行』の乗り物に関するもの、「Check in, Please」エリアは『グランド・ブダペスト・ホテル』のホテルに関するもの、「The Seventh Continent」エリアは『ライフ・アクアティック』の海に関するもの、などです。
映画を観ていなくても十分楽しめると思いますが、映画を観ているとより一層楽しめるのは間違いありません。また、みなさんがどのように「ウェス・アンダーソン」作品を捉えているか、確認するのも面白い試みです。


展覧会「ウェス・アンダーソンすぎる風景展」02
オープニングの「Welcome Adventurers」エリア

展覧会「ウェス・アンダーソンすぎる風景展」03
ワリー&アマンダ・コーヴァル夫妻が写っている写真も。


展覧会「ウェス・アンダーソンすぎる風景展」04
ノスタルジックな「Open Your Album」エリア

展覧会「ウェス・アンダーソンすぎる風景展」05
「ウェス・アンダーソン」的な写真を「ウェス・アンダーソン」風に撮ってみました。
やたらシンメトリーに撮りたくなります。


展覧会「ウェス・アンダーソンすぎる風景展」06
鉄道駅の「The Terminal」エリア


展覧会「ウェス・アンダーソンすぎる風景展」07
乗り物の「Mind the Gap」エリア

展覧会「ウェス・アンダーソンすぎる風景展」18
乗り物の写真が順次入れ替わる。

展覧会「ウェス・アンダーソンすぎる風景展」08
車窓のような展示風景。奥の風景はムービー。


展覧会「ウェス・アンダーソンすぎる風景展」09
展覧会「ウェス・アンダーソンすぎる風景展」10
アメリカの「Stars and Stripes」エリア

展覧会「ウェス・アンダーソンすぎる風景展」19
次の展示エリアに移動する入り口


展覧会「ウェス・アンダーソンすぎる風景展」11
ホテルの「Check in, Please」エリア

展覧会「ウェス・アンダーソンすぎる風景展」12
『グランド・ブダペスト・ホテル』を再現した空間


展覧会「ウェス・アンダーソンすぎる風景展」13
プールの「Cool Pools」エリア

展覧会「ウェス・アンダーソンすぎる風景展」14
「Cool Pools」エリアの空間


展覧会「ウェス・アンダーソンすぎる風景展」15
ピンクとターコイズブルーの「Colorful Collection」エリア


展覧会「ウェス・アンダーソンすぎる風景展」16
自然の「Relax in Nature」エリア


展覧会「ウェス・アンダーソンすぎる風景展」17
南極の「The Seventh Continent」エリア


同展に合わせて『ウェス・アンダーソンすぎる風景みつけたコンテスト』というフォトコンテストも開催されていました。
各賞の名称が「AWA賞」「ウェス・アンダーソンすぎる風景賞」に加え、「シンメトリー賞」「パステルカラー賞」「デコラティブ賞」と、「ウェス」作品のキーワードになっています。
近年の作品では、シンメトリーの構図とパステル調のカラフルな色彩の印象が強いですが、作品を振り返り「デコラティブ」というのも重要なキーワードだと気づきました。

展示エリアの最後には、展示作品を使用した「ボーディングパス」を自作できるエリアもあります。
写真を見ながらちょっとした旅の気分を味わい、頭の片隅で「ウェス・アンダーソン」作品に思いを馳せる、そんなユニークな体験でした。


展覧会「ウェス・アンダーソンすぎる風景展」20

「ウェス・アンダーソンすぎる風景展 あなたのまわりは旅のヒントにあふれている」は、渋谷ヒカリエのヒカリエホールにて、2023年12月28日(木)まで開催されています。


【関連URL】 



parco-advertising-design01

「『パルコを広告する』1969-2023 PARCO 広告展」を観てきました。
渋谷PARCO開業50周年記念のこの展覧会は、過去のCMやポスターから現代のビジュアルまで幅広く展示されています。

展示内容には各時代にキーワードを付されており、「2000年代以降~(アート)」から「1990年代(渋谷)」、「1980年代(広告)」、そして「1970年代(予言)」へと時代をさかのぼる構成で、パルコの代表的な広告作品が展示されていました。

展覧会「『パルコを広告する』1969-2023 PARCO 広告展」02
(1977年)
アートディレクターは、長谷川好男さん。
イラストレーターは、山口はるみさん。
 
展覧会「『パルコを広告する』1969-2023 PARCO 広告展」03
(1970年代)
写真左3点のアートディレクターは、石岡瑛子さん。
 
 
私は90年代に上京してから実際のパルコのCMやポスターを見るようになりましたが、今回の展示で70年代や80年代の作品が印象に残っていることに改めて気付かされました。
石岡瑛子さんや山口はるみさん、井上嗣也さんの作品は、実際に見たことはなくても書籍やギャラリーで何度も目にしていたからかもしれません。


展覧会「『パルコを広告する』1969-2023 PARCO 広告展」04
(1980年代)
写真右3点のアートディレクターは、井上嗣也さん。 

 
パルコの広告はシンプルな構成ながら、強いメッセージを持っています。ヴィジュアルとコピー、そしてロゴが組み合わさり、明確なメッセージと共に考えさせる余白を残します。このバランスが強く印象に残る理由です。


展覧会「『パルコを広告する』1969-2023 PARCO 広告展」05
(1996年)
写真左は、ソフィア・コッポラさんが
フォトグラファーとして起用されたポスター。
写真右のアートディレクターは、信藤三雄さん。
 
 
展覧会では100点以上のポスターが展示され、それぞれがその時代の空気を感じさせます。
さらに、ポスターでしか見たことがなかったヴィジュアルのCMが観られたことも貴重な体験でした。この展示を通じて、過去から現在までのパルコの広告が持つ魅力と歴史を体感できる貴重な機会です。 

「『パルコを広告する』1969-2023 PARCO 広告展」は、PARCO MUSEUM TOKYOにて2023年12月4日(月)まで開催されています。(入場無料)


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映画『アステロイド・シティ』

ウェス・アンダーソン監督最新作『アステロイド・シティ』を観てきました。
ウェス・アンダーソンは近年、パステル調のポップでカラフルな色彩とシンメトリーの構図の多用が特徴的な映画監督です。その実際の色合いを確認するため映画館に足を運び、シンメトリーの構図を真正面から捉えるためにど真ん中の席で鑑賞しました。
音楽も効果的に使用され、オープニングから観ているだけで楽しい作品です。

背景はCGに見えるかもしれませんが、実際にスペインのチンチョン郊外にセットを組んで撮影されています。ウェス・アンダーソンのこだわりの色彩が表現され、カラーグレーディングにより彼が思い描くカラーが一層際立っていました。
さらに、彼の映画は色や構図だけでなく、音楽、衣装、小道具など、細部にわたって非常に注意が払われています。

最近のSNS上では、ウェス・アンダーソン風の写真が話題になっていますが、本家のこだわりはさすがに卓越しています。字幕を読みながら二重構造の複雑なストーリーを追うのと映像を堪能するのに忙しいのですが、それがまた楽しい体験でした。
ストーリーや映像を再確認するために、もう一度見たいと思う作品です。


9/1(金)公開『アステロイド・シティ』本予告



グラフィックデザイン事務所 DESIGN+SLIM


展覧会「ソール・ライターの原点 ニューヨークの色」01

「ソール・ライターの原点 ニューヨークの色」を観てきました。
ソール・ライターの展覧会は過去にも開催されていますが、今回は近年発見された多数の未公開作品も展示されています。

会場は、「ニューヨーク 1950年代-60年代(ストリート・アーティスト)」、「ソール・ライターとファッション写真」、「カラーの源泉 ─ 画家ソール・ライター(絵画・カラー写真)」、「カラースライド・プロジェクション」、「終の棲家」という5つのセクションに分かれており、展示内容は以下の通りです。
 

展覧会「ソール・ライターの原点 ニューヨークの色」02
「ニューヨーク 1950年代-60年代(ストリート)」より
未公開スナップ写真。


展覧会「ソール・ライターの原点 ニューヨークの色」03
「ニューヨーク 1950年代-60年代(アーティスト)」より 『ジョン・ケージ』
他にも、アンディ・ウォーホル、セロニアス・モンク、
ユージン・スミスなどが展示されていました。


展覧会「ソール・ライターの原点 ニューヨークの色」04
展覧会「ソール・ライターの原点 ニューヨークの色」05
「ソール・ライターとファッション写真」より
1958年~1960年代の雑誌「ハーパースバザー」でのファッション写真。
当時はカメラマンが撮影したフィルムは本人に返却されることがなかったため、
写真ではなく現物の雑誌が多数展示されていました。
 

展覧会「ソール・ライターの原点 ニューヨークの色」06
「カラーの源泉 ─ 画家ソール・ライター(絵画)」より
ソール・ライターは写真家のイメージが強いですが、並行して絵画制作も続けていました。
「絵画は創造であり、写真は発見だ」と語っていたそうです。
写真も絵画も構図や色彩感覚が抜群で、絵画と写真の相乗効果が見て取れます。
 

展覧会「ソール・ライターの原点 ニューヨークの色」07
「終の棲家」より
ソール・ライターのアトリエを再現したもの。
壁面にはスライド・プロジェクターで
「スライド・プロジェクション」が投影されています。
 

展覧会「ソール・ライターの原点 ニューヨークの色」08
「カラースライド・プロジェクション」より カラースライド(ポジ)の複製
ソール・ライターがプリントの状態で確認したカラー作品は、わずか280点ほどだそうです。
それ以外の写真は、カラースライドをライトボックスで見るか、
アトリエ壁面に投影するかで確認していました。
会場では、光を当てたカラースライド(複製)を実際に見ることができます。
 

展覧会「ソール・ライターの原点 ニューヨークの色」09
「カラースライド・プロジェクション」より
右から「スクリーン2・ファッション1」「スクリーン3・ディスカバリーズ2」
「スクリーン4・セントラルパーク」「スクリーン5・ホリゾンタル1」
 

展覧会「ソール・ライターの原点 ニューヨークの色」10
「カラースライド・プロジェクション」より
左から「スクリーン8・雪」「スクリーン9・ファッション2」
「スクリーン10・ディスカバリーズ4」
 

当時のカラー写真は、色の再現性や経費がかかることなどから、プリントではなくカラーポジ(スライド)で見ることが一般的だったそうです。
ソール・ライターのカラー写真もプリントした状態ではなく、アトリエ壁面に投影するなど、光を通して見るカラースライドでした。
今回の展覧会では、大型スクリーンで最新の作品(約250点)を観ることができます。
かつてソール・ライターが確認していた方法で作品を観ることができるまたとない機会です。
圧倒的に優れた作品群は、大きなスクリーンに映し出されても圧巻でした。

カラー写真が美術的に無価値だと思われていた時代にあって、これだけの作品が残されていたというのは、大変稀少な美術的財産と言えます。
ソール・ライターが富と名声に関心がなかったことも大きいのかもしれません。


「ソール・ライターの原点 ニューヨークの色」は、ヒカリエホール ホールA(渋谷ヒカリエ9階)にて、8月23日(水)まで開催されています。
(同会場のホールBでは、「平間至展 写真のうた -PHOTO SONGS-」も展示中です。)


【関連URL】 



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